ホタルブクロ(=写真)は大好きな花の一つ。阿武隈高地で生まれ育った人間には梅雨を象徴する山野草だ。
小学生のとき、野道でこの花を見た。中学生のとき、やはり野道でこの花を見た。そのあと、ふるさとの山である大滝根山の南面から発する夏井川を下って浜通りの学校に入った。ふるさとのホタルブクロは頭のなかだけの花になった。
代わりに、平市街の裏山である石森山や夏井川渓谷の無量庵の周辺で、ホタルブクロが咲けば写真を撮る。そのつど、ふるさとのホタルブクロが思い浮かぶ。
先週土曜日(6月23日)の午後、無量庵へ出かけた。ネギ坊主の収穫が目的で、その話は6月26日に書いた。ホタルブクロの花が道端に咲いていた。今年も咲いてくれたか――。昨年の3・11以来、そこに再び同じ花が咲いた、同じ鳥がやって来た、というだけでうれしくなる。
県道小野・四倉線でその花を撮っていたときのことだ。下流の平方面から白バイが現れた。こんな田舎道に白バイが? すぐあとにパトカーがついていた。パトカーのあとには黒塗りの乗用車。ちょっとあとから白バイが3、4台。なんだ、この物々しさは!
午後4時ちょっと前の小川町・江田付近。すぐ思い浮かんだのは、いわきに住まいのある新しい復興副大臣でも乗っていたか、ということだった。
いわき市は双葉郡に接している。VIPがわざわざ渓谷の道を使うとすれば、原発事故にからんだ用事しか思い浮かばない。川内、あるいは中通りへ?
むろん、副大臣とは関係ない車列だったかもしれない。が、ホタルブクロと阿武隈高地の放射能汚染とが、そのときはつながった。飯舘村でも、浪江町でも人知れずホタルブクロが咲いていることだろう。
(タカじい)
タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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