「日本が価格の調整弁を握ることができる」かもしれない
「レアアース」の生産量は中国が97%を占めているとされる。日本はその最大の輸入国だ。半導体やバッテリーの電極など、さまざまな電子部品に使用され、ハイテク素材に少量添加するだけで性能が飛躍的に向上するだけに、レアアースは欠かせない。
2010年、中国が環境保護などを理由に輸出量を前年より40%減少させたことや、尖閣諸島沖で起きた中国漁船の衝突事件のあと、輸入が滞ったことなどから、日本企業に強い懸念が広がったことは記憶に新しい。
このため、日本では中国以外のレアアースの調達先を探す動きが進んでいて、11年3月にはオーストラリアで大規模な鉱山の採掘権を獲得したほか、12年5月にはカザフスタンとも協力関係を強化することで合意している。
この鉱床からレアアースが採掘できるようになれば、日本は中国からの輸入に頼る必要はなくなるのだろうか――。
「現在のところ、すべてを自給する必要はないと考えています。日本が年間消費量の10%でも自給できれば、中国が値段を上げたときは『国産レアアース』を安く買えばいいし、われわれのプロジェクトを潰そうとしてレアアース価格を一時的に下げてきたときは『国産レアアース』は高く買うことになりますが、残りの90%は安く買えることになります。このように少しでも自給することで、日本が価格の調整弁を握ることができるということが重要です」(加藤研究室)