プロ野球、読売巨人軍の原辰徳監督が、選手時代の女性関係を知る男に脅されて1億円を支払っていた一件は、球界全体に騒動が拡大する様相を呈してきた。
2006年、原監督に1億円を要求した人物は現役プロ野球選手の父親との報道もある。さらにここにきて、巨人OBの中畑清・横浜DeNAベイスターズ監督の関与も取りざたされている。
渡辺会長「原君は絶対にやめさせない」
「原君は絶対にやめさせない」
巨人軍の渡辺恒雄球団会長は2012年6月25日、報道陣に対してこう断言した。2年契約が終了するのは来年で、それまでは引き続きチームの指揮をとらせるという。女性問題自体については「25年前のこと」で「もう時効」と寛容な姿勢を示し、原監督は「恐喝を受けた被害者」という立場を強調した。
渡辺会長は、原監督を脅した男性について「ある球団の選手の父親」と名乗っていた点について言及したという。「週刊文春」6月28日号では「北海道出身の元暴力団員K」というイニシャルで登場する人物だ。現在は熱海で旅館を経営し、息子が現役のプロ野球選手だという。別のメディアは、この選手がオールスター戦に出場した経験があると伝えている。
インターネット上では、この「K」なる人物とその息子が誰かをめぐって、さまざまな情報が飛び交っている。その中で、ひとりの選手がクローズアップされている。この選手が数年前に開いた結婚披露宴に出席したある人物が、当日の様子をブログで紹介しているが、文中で父親は熱海の旅館経営者と説明。披露宴には所属球団や、かつてプレーしていた球団の関係者がお祝いに駆けつけているとつづった。結婚後この選手は、球宴にも出場し、報道されている内容と一致する点が多い。
「フラッシュ」6月26日発売号では、記者がK氏を訪ねて熱海に向かったもののカラ振りに終わった様子が書かれていた。同誌はさらに、息子のプロ野球選手も直撃するが、本人は取材には応じなかった。
中畑監督本人は具体的な関与を否定
2006年に現場復帰した原監督が、いきなり突きつけられた過去の「秘密」。2012年6月20日に出した声明では「ゆすられていると思い、不安を感じた一方、私を助けてくれるのだとも解釈」して1億円を渡したと弁明した。
確かに「不倫スキャンダル」が明るみに出れば、原監督にとって致命的だったかもしれない。それにしても1億円もの大金を、「私を助けてくれる」人物が求めるのは不自然ではないか、と指摘する向きもある。実は原監督と関係をもったという女性の日記に、当時原監督を支えていた2人のコーチの実名が記載されていたという。6月20日付の読売新聞(電子版)でも、「女性の日記には88年当時の選手2人の名前もあり、この2人が06年にコーチになっていた」ため、表ざたになればチームが崩壊すると考えた末に1億円を支払った旨を伝えている。
前出の「週刊文春」はこの2人が、巨人軍の岡崎郁・現ヘッドコーチと、野球評論家の緒方耕一氏だとした。当時、現役選手だった原監督と交際していた女性が、思い悩んで相談していたのがこの2人で、その様子を日記につづっていたのだという。同誌によると、2人とも女性について「知らない」「恐喝事件など聞いたこともない」と否定したそうだ。
6月26日の夕刊フジ(電子版)によると、渡辺会長は女性の日記の中に「原君だけじゃなくて、何人かの重要な選手の名前も出てくる」と報道陣に明かしたという。これがだれを指すのかは分からない。だが、ここにきてもうひとり、巨人と因縁のある名前が急浮上した。横浜DeNAベイスターズの中畑清監督だ。
東京スポーツ紙によると中畑監督は、原監督を脅迫したK氏と面識があり、K氏の息子のプロ野球選手とは母校の駒澤大学野球部の先輩、後輩の間柄だという。「週刊文春」の記事中には、K氏が「ある巨人の大物OB」と昵懇(じっこん)の中で、原監督との面会にこのOBを仲介役に立てたと語っていたとしているが、このOBこそが中畑監督ではないか、との話が出ているというのだ。中畑監督本人は具体的な関与を否定したようだが、騒動はまだまだ収まる気配がない。