中国人ユーザーと一緒にページをつくる
同じ東北の青森県も、フォロワー数が3万人に迫る。県観光交流推進課に聞くと、「こまめに情報を更新し続けることで、中国人ユーザーの関心を引けたのではないか」と話す。県では動画投稿サイト「ユーチューブ」を利用して、中国人女性が青森の物産や観光スポットを中国語で紹介する動画を配信していたが、これを微博と連動させたことで人気が増し、フォロワー獲得に一役かったようだ。
現在、都道府県や市レベルで微博を開設している数は、およそ30自治体に上る。アジアクリック代表の高橋学氏はJ-CASTニュースの取材に、「ここ1年で急速に増えました」と話す。中国人観光客の集客を目的に始めるところが多いが、単に観光情報を発信するだけでは「ウェブサイトと変わりません」と高橋氏。SNSである微博のメリットを生かし切れていないというわけだ。
その点、仙台市のページはフォロワーとの双方向性を重視しているのがユニークといえる。ページ上での会話や、仙台在住の中国人が「地元」のよさをアピールする書き込みをするなど、ユーザー自身がページづくりに参加する。中国人の興味や好みは日本人と必ずしも一致しない。一方的に「ここを訪れるのがよい」「この名産品がおいしい」と宣伝しても、かえって的外れになる恐れもあるだろう。仙台の場合、中国人ユーザーを「巻きこむ」形でのページづくりが奏功して、スタートから1か月強でフォロワーは5300人を超えた。
中国人観光客を取り込みたいのは、何も日本だけではない。言わば世界中の観光地がライバルだ。だが現時点で日本の自治体の微博は、「情報量や更新頻度がまだまだ不足しています」と高橋氏は指摘する。岐阜県のように頻繁に情報を出すことで中国人ユーザーの間で知名度が広がり、北海道や京都、富士山といった「定番」の観光地に次いで「訪れてみたい場所」に選ばれたケースは参考になるだろう。「SNSでは、主張しなければ存在していないのと同じ」(高橋氏)。更新する情報の質やフォロワーとの交流は重要だが、前提として発信そのものを怠っては意味がない。
微博のページ運営の目的はフォロワー数増ではなく、本当のファンを獲得することだと高橋氏は強調する。フォロワーが「親友」となれば、わざわざ中国からその土地を目指して足を運んでくれるようになるかもしれないのだ。