野田佳彦首相が「政治生命をかける」と繰り返していた消費増税法案が2012年6月26日午後、民主・自民・公明の賛成多数で衆院本会議を通過した。09年に民主党が政権を獲得した際の衆院選選挙で掲げた政権公約(マニフェスト)に反する内容だけに、特に法案に賛成する民主党の議員にとっては選挙区での風当たりが強かったようだ。そのこともあって、賛成派の中には、ブログに長文記事を載せて説明を試みる議員も相次いだ。
3000字超えるブログ書く議員も
衆院本会議に先立って、野田首相は午前の衆院特別委員会で、
「地元でペテン師、嘘つき、バカと言われるなかで、それでもこの改革はやり遂げなければいけないと思っている人たちが腹をくくって賛成しようとしている」
と賛成派議員をかばった。特にここ数日は、賛成派の衆院議員によるブログやツイッターでの意見表明が相次いだ。
例えば藤田憲彦議員(東京4区)は、6月25日深夜、
「ただ黙って黙示の賛意を示すよりは政治家としての使命を果たしていると思います」
と、反対派への敬意を示す一方、
「与党に反対するということはこうした(与野党合意)努力全てを否定することになります。反対を主張してこられた立場からすれば反対すれば筋を通せるのでしょうが、組織の筋を違えることになります。それは許されないことだと思います」
と賛成の意向を改めて表明。この日のブログの字数は3000字近い。また、法案可決後には、ツイッターで
「造反に対しては厳しい処分で臨むべきです。賛成した者だって、嬉々として投じたわけではありません」
と、反対派を批判してもいる。
増税反対は「単なる問題の先送りであり人気取り」
村越祐民議員(千葉5区)は
「『増税の前にやることがある』といったスローガンを声高に叫ぶ人たちがいます。これは一見もっともらしいものですが、国の将来を真剣に考えての発言とは到底思えません。単なる問題の先送りであり人気取りのためでしかないからです」
と、さらに厳しい調子だ。それ以外にも、花咲宏基議員(中国比例)、大西健介議員(愛知13区)、山井和則議員(京都6区)、三村和也議員(神奈川2区)などがブログやツイッターで法案への賛成を表明した。「変わり種」とも言えるのが、岸本周平議員(和歌山1区)。フェイスブックに白票と青票の写真付きで
「右の白票が賛成。左の青票が反対。私は、誇りを持って、白票を投じます」
とつづった。
民主党内に衝撃を与えたのが、馬淵澄夫元国交相(奈良1区)が6月26日になって更新したブログ。馬淵氏は、いわゆる「中間派」だとされ、11年8月に代表選に出馬した際は消費増税に強く反対していた。ところが、ブログでは
「従来の私の主張は変わるものではないが、党という組織による決定、さらに公党による三党協議の結果は大変重い」
として、法案に賛成することを明言した。
有権者に自らの政策の正当性を訴えたい思いは反対派も同じで、反対派の中では、川内博史議員(鹿児島1区)や三宅雪子議員(群馬4区)が、特に活発にツイッターを活用している。初鹿明博議員(東京16区)は、ツイッターで
「昨夜も遅くまで賛成派の先輩議員と飲みながら話をしてきましたが、決意は変わりません」
と、賛成派による説得の様子を明かしているし、福嶋健一郎議員(熊本2区)は、法案の通過を受けて、フェイスブックに「皆さまと一緒に戦って参ります」とするコメントを公表している。