バックアップまでもが失われる?
サーバーに障害が発生しても、通常ならデータのバックアップがあり、最新の情報が保管されていれば復旧にもここまで手間取らないはずだ。ファースト社の発表では、同社の「管理領域内」にも「損傷が認められ」とあることから、バックアップまでもが失われ、最後の手段として初期化せざるをえなかった、ということだろうか。
情報システムに詳しい数人に聞くと、サーバーの障害で初期化まで行きついたうえバックアップも消失したとみられることに、一様に驚きをみせた。そもそもバックアップのデータは、万一を見越して別のサーバーや安全な場所に保管しておくはずなのに、同時に消えてしまうとはありえない対応というのだ。外部サーバーを使っている会社によっては、常に最新データのバックアップを自社サーバーに保管してリスクをヘッジするところもある。
だが、ユーザー数が5万に達し、うち企業や官公庁の契約割合が8割、「稼働率100%」をうたうファースト社を信頼して、データ運営を任せていた利用者は少なくないだろう。
ファースト社のフェイスブックページやツイッターには、「顧客データが飛んでいる」「設定値がすべて消えた」「通販サイトなので売り上げに影響が出るので大変困っています」との嘆きが寄せられた。問い合わせ用の電話がつながりにくいことも「対応が悪い」として利用者の怒りに火をつけている。
現在もファースト社側でデータ復旧に全力を挙げており、作業によっては状況が好転するかもしれないが、障害発生から2日がたった6月22日夕方現在でもウェブデータは一切復旧していないと発表されたままだ。J-CASTニュースではファースト社に詳細を確認しようと何度か電話取材を試みたが、一向につながらない。メールで質問を送付して回答を促したが、こちらも22日夕までに連絡はこなかった。