安全性を検証しながら実施
さらに、これまでの制度では、60歳以上のパイロットは1機に1人しか乗務できなかったが、機長と副操縦士の2人とも60歳以上で乗務できるとした。航空会社がパイロットを自前で養成すれば、費用も時間もかかり、負担は大きい。このため経費節減を重視するLCCはベテランを中途採用するケースが多いが、世界的にLCCが活発化してパイロットの数はひっ迫しており、若手の採用が難しくなっている。年齢規制が緩和されれば、LCCは生命線ともいえるパイロットの確保がしやすくなる。
世界的に航空自由化が進む中、「日本の基準は世界各国に比べて厳しく、企業には負担が重い」(航空関係者)との批判が従来から上がっていた。今回の広範な規制見直しについて、国交省は「国内ルールが日本の航空会社の競争の足かせになってはならない」としている。
一方、関越自動車道の高速ツアーバス事故を機に、規制緩和の陰で交通の安全性が疎かになっていないかという心配の声が高まっている。国交省は「安全の確保を大前提としたうえで、安全性の検証を行いつつ実施する」としており、運用については慎重に対応することを強調している。