プロ野球・読売巨人軍の原辰徳監督(53)が、過去の女性関係をめぐり「元暴力団員に1億円払っていた」などと週刊文春が報じた問題に、朝日新聞が「参戦」した。巨人側は、1億円を要求した人物2人について、暴力団員ではないと主張しているが、朝日新聞では男らへの直接取材や捜査当局をもとに、見出しに「元組員」という言葉を使い、反社会的勢力とのつながりを強調した。
球団「原監督は反社会的勢力と交際したことや利用したことはない」と主張
2012年6月20日に球団が開いた会見では、桃井恒和社長が、週刊文春の記事について
「あたかも反社会的勢力に不当なお金を払ったかのようにとられる。それは大変違う」
などと反論。原監督は反社会的勢力と交際したことや利用したことはないとも主張した。また、球団側の主張によると、球団が問題を把握した09年の時点で、警察当局からも2人は暴力団員ではないことを伝えられたという。その上で、文春の記事が原監督と球団の名誉を傷つけるとして、近く損害賠償請求訴訟を起こすことを明らかにした。
仮に恐喝した男が暴力団員などの「反社会的勢力」関係者だった場合、野球協約180条の「賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止」に抵触することになり、原監督にとっては命取りになりかねない。それだけに、球団側も強い姿勢で臨んでいるとみられる。
この球団側の主張に異議を唱える形になりそうなのが、翌6月21日の朝日新聞朝刊の第1社会面のトップ項目に「原監督『ゆすられ』1億円 元組員らに女性問題で」と題して掲載された記事だ。
朝日記事、1億要求した男は「金銭問題で組を破門になった」
記事では、原監督に金銭を要求した男2人について、
「2人組の男のうちの1人は1998年ごろまで暴力団員だった」
「もう1人の男は07年に事故死するまで大阪にある暴力団の関係者だったという」
など説明。2人のうち生存している方の男は、朝日新聞に対して
「金銭問題で組を破門になった」
と話し、もう1人の、死亡した男が所属していたとされる暴力団で組長だった男は、
「自分が立ちあげた組の舎弟(弟分)だった」
と話したという。記事は元組長について、09年12月に巨人軍に対する威力業務妨害容疑で逮捕された際の供述調書をもとに、
「96~97年にかけて、大阪市で山口組系の3次団体を立ちあげて組長になったが、07年に破門になったという」
と説明されている。
球団広報部、朝日記事に「何らかの対応を行うことを検討」
朝日新聞の記事を受け、J-CASTニュースでは、現時点でも球団側が男2人が「反社会的勢力に属するものではない」との認識を持っているかどうかについて見解を求めたところ、球団広報部は
「2人組の男のうち1人は、相当以前に暴力団に所属していたと自称していましたが、警察当局からは、その後、暴力団との関係は確認できないと知らされました。また、もう一人についても警察当局から同様に暴力団との関係は確認できないと知らされました。このため、球団としては、2人とも反社会的勢力に属するものではないと考えました。そのことは、20日のブリーフィングでご説明したとおりです」
と回答。朝日新聞の記事については、
「朝日新聞の記者も上記の説明を聞いていながら、本日の朝刊では、巨人が虚偽の説明をしているかのような記述になっており、何らかの対応を行うことを検討しています」
とした。
今回の文春記事をめぐっては、球団側が前球団代表の清武英利氏=解任=を情報源として名指しする一方、清武氏側は記事について
「私は関知していません」
とするコメントを発表。戦線は拡大する一方だ。