9月上旬に総選挙という政治日程
もっとも、増税プロレスの延長戦は「9月8日までの79日間延長」の方のようだ。これは、民主の代表選、自民の総裁選の直前までという日程だ。そうなると、先のコラムで書いたように、代表選、総裁選の前倒しになるだろう。そこで、新しい顔ぶれで総選挙という流れになるはずだ。
ここで思い出されるのが、2005年の郵政解散・総選挙だ。8月8日に解散し、9月に投票となった。これに習うと、一応9月まで国会を延長するが、8月上旬に国会を解散し、9月上旬に総選挙という政治日程が、政治家の間で自然と連想されるだろう。
この日程であれば、反増税、暫定原発再稼働と政策的に対立軸となり、「第2極」になりうる大阪維新の会やみんなの党などに選挙準備の時間を与えないために、民・自・公は議席を減らしはするが、第1極の立場を維持できるからだ。
民・自・公の「増税大連立」による増税プロレスは、ここまでストーリーができていると思う。ただし、総選挙の結果までは読めていないはずだ。それは国民の選択なのだから。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。