「需要を過大に見込み過ぎていないか」と疑問噴出
また、7月以降は、シャープ本体の大型液晶パネル部門を切り出し、同部門の約1300人の従業員は、堺工場運営会社に移る。同時に堺工場を鴻海との共同運営体制に切り替える。堺工場運営会社には鴻海の郭台銘董事長(会長)が個人で出資予定。出資比率はシャープと同率の37%程度となる見通しだ。大型液晶部門の本体からの切り出しは、「液晶一本足打法」と揶揄された過去からの脱却を示す意味もあると見られる。
ただ問題は、シャープの目論見通りに堺工場のパネルが捌けるかどうか。
8日の会見は証券会社のアナリストミーティングも兼ねたものだったが、アナリストからは「稼働率9割」の見通しについて、「需要を過大に見込み過ぎていないか」と疑問が噴出した。あるアナリストは「昨年もこの時期、片山(幹雄)社長(当時)が強気の見通しを立てて失敗した」などと話したが、奥田社長は「私は堅くマネジメントしていく」と述べ、需要予測は保守的だと強調した。
確かに鴻海が半分引き取ったとしても、半分はシャープが捌かねばならない。シャープの大型テレビに世界でどれほどの需要があるか、4月に発足したシャープの新体制は早くも真価が問われる局面を迎える。