「事件」を報告したときに球団代表だった
原監督はファンに向けた談話で謝罪したが、実はもうひとつ談話を出していた。その相手は2011年11月、巨人軍球団代表を解任された清武英利氏だ。「清武さんへ」と題された文面の冒頭、「巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています」と記した後、
「こんなことがなぜ続くのか、清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」
と、「決めつけ」とも思える言い回しで批判した。確かに原監督が球団に洗いざらい打ち明けたという2009年は、清武氏が代表を務めていた。立場上、清武氏は報告を受けていたと考えられる。
読売新聞の記事によると、会見に出席した巨人軍の桃井社長は「清武氏がこの報道に関与していると監督も私も思っている」と述べている。事件の詳細を清武氏ら4人しか知らなかったこと、解任前に「原監督の弱みを握っている」と球団職員に漏らしていたことを根拠にあげたが、現時点で決定的な証拠とはいえなさそうだ。
清武氏と巨人軍は、今も対決が続いている。2012年3月に朝日新聞が巨人軍の新人選手の契約金をめぐって「入手した内部資料」をもとに詳細記事を掲載したが、巨人軍は内部調査によって「清武氏が資料を流出させたのは確実」と結論づけ、これに清武氏側が反発して訴訟に発展した。今回の件も含めて、原監督の言う「たくさんの暴露」には本当に清武氏がかかわっているのだろうか。
インターネット上では「1億円」という金額の大きさや「20年以上前のことを今さらゆすってくるのが怖い」という点が話題になった。宗教学者の島田裕巳氏はツイッターで、「1億円ゆする人は、そもそも反社会的勢力でしょ」と発言している。
時事通信によると清武氏は6月20日夜、原監督の談話について「非常に残念でなりません。私は関知していません」とコメントしたという。