財務省が2012年6月20日に発表した5月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9072億円の赤字となった。3か月連続の赤字で、5月としては東日本大震災後に落ち込んだ昨年を上回り過去最大となった。
輸出は前年に比べて10.0%増の5兆2346億円。震災の影響で昨年に落ち込んだ反動もあって、自動車が米国向けを中心に87.4%増えた。米国向け輸出は7か月連続の増加。中国向け輸出も自動車や自動車部品が好調で8か月ぶりに増加した。
輸入は、9.3%増の6兆1419億円。液化天然ガス(LNG)が44.3%増、原油も10.9%増えた。停止している原子力発電所の代替として火力発電所の稼働が増え、原料の輸入が増えているため。
また、中国からの輸入が携帯電話などの基地局用機器が増えて3か月連続で増加。ユーロ安を背景に、ドイツからの自動車輸入も増えてEUからの輸入額は2か月ぶりに増えた。 地域別にみるとEUの貿易収支は111億円の赤字。初の赤字で、輸出が0.9%減の5563億円と、政府債務問題が深刻化した昨秋から8か月連続でマイナスとなった。とくに半導体などの電子部品が落ち込んでいる。
景気の持ち直しが続く米国との貿易収支は3343億円の黒字。黒字額は4か月連続で増えた。