主力選手掌握しきれないバレンタイン監督の「切り札」
実はバレンタイン監督と主力選手の間には違和感がある。きっかけは4月半ばの出来事。チームの要の選手について「肉体的にも精神的にも以前のようではない」と発言。その主力は「私はいつも全力でプレーしている」と不快感を示し、監督室に乗り込んでボスに直接抗議した。
この余波はチームが反監督の形となって表れた。「日本では(選手批判は)通じるかもしれないが、レッドソックスではそうはいかないよ」などと、主力選手から次々と監督に背を向ける発言が相次いだ。バレンタイン監督といえば、日本でも一言多くてフロントとぶつかっていたが、レッドソックスでもスタイルは変わらないらしい。
この「口は災いの元」がたたったのかチームは調子が上がらない。そこで、松坂に頼った、というのである。日本人大リーガーに窮地脱出を委ねたわけで、そうなると松坂は監督のクビに影響することになるから穏やかではない。
松坂にとっては迷惑な話である。松坂はこのままでは再度のファーム調整もあるし、シーズン終了後には契約もなくなる可能性がある。来年のシーズン・オフには二人で心中、と、とんだバレンタイン・デーになるかもしれない。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)