現状では「コンテンツ不足、価格的メリット少ない」
日経の調査結果を見ると、電子書籍を「読んだことがない」理由として「画面では読みにくい」を挙げた割合が3割を超えているが、読んだ人の中にも同じ感想を持った人が約3割に上った。調査ではこれ以上具体的に踏み込んでいないが、「読みにくさ」は画面そのものの質やサイズ、表示される文字の大きさや鮮明さが原因とも考えられる。携帯電話やスマートフォンを使い慣れている人が少なくないはずだが、一定数のページを読みこなさなければならない書籍となると話は別ということだろうか。
矢野経済研究所が2012年4月18日に発表した「電子書籍市場に関する調査結果」によると、2010年度の電子書籍の市場規模は670億円、11年度は723億円との推計だ。成長はしているものの、爆発的な伸びは見られない。原因として同研究所は、コンテンツ不足や、紙版と比べて価格的なメリットが少ないと指摘している。
起爆剤として考えられているのが、2012年中の米アマゾンの日本市場進出だ。既にジェフ・ベゾス最高経営責任者が主要紙のインタビューで年内参入を明言。4月には「大手出版40社と提携」とも報じられた。正式発表はまだだが、矢野経済研究所は「アマゾン効果」で国内の電子書籍コンテンツが徐々に充実し、2~3年で大幅に拡充すると見ている。加えて、電子書籍端末の軽量化などで使いやすさも増すだろうという。
これにより2014年の電子書籍市場は1197億円、15年には1500億円と急成長を遂げるとした。このころには文芸書をはじめとした書籍の市場規模が、現在売り上げの大きな部分を占めるコミックを逆転すると予測しており、実現すれば米国と同じような形で市場が拡大していることになりそうだ。