「国交省が前原体制を一掃し、官主導に巻き返しを図ろうとしている」
この数カ月、前原氏が国交相時代に中止や白紙化を決めた大型公共事業が次々と復活している。2011年12月には八ッ場(やんば)ダム(群馬県)の建設再開と整備新幹線(北海道、北陸、九州新幹線)の未着工3区間の着工が相次ぎ決まった。そんな中での今回の人事。「国交省が前原体制を一掃し、政治主導から官主導に巻き返しを図ろうとしている現れ」(高速道路関係者)との観測も出ている。
ただし、前原人事にそもそも問題があったとの声もある。現高速道路会社のトップ人事は、前原氏が、自身と近い経済同友会に依頼して決めたとされる。このため、「政財界では、同友会が急ごしらえで決めたトップたちでうまくいくわけない、と言われていた」(財界関係者)。その点、今回は米倉経団連会長のお膝元、住友化学から広瀬氏が東日本高速社長に転じるように、経団連の影響は明らか。「財界の主導権争い」を指摘する声もある。
そもそも、民主党政権になって、高速道路政策は、看板に掲げた「無料化」の実験が行われたものの結局、凍結されたほか、料金割引、東北無料化などでも二転三転するなど「揺れ」が目に余った。「政治(家)主導か官僚主導かといった二元論的な議論でなく、民主党政権の政策と実際の運営をきちんと総括する必要がある」(エコノミスト)といえそうだ。