「元の国際化」に舵を切る
一方の中国には、「ドル依存を脱却したいとの思惑がある」(国際金融筋)。中国の外貨準備高は現在、世界一の約3兆ドル(240兆円)。その構成比は明らかではないが、大半がドルとみられる。貿易黒字でため込んだほか、対ドルの人民元の上昇(元高)阻止のための元売り・ドル買い介入で膨らんだのだ。
今回、ドル以外の主要国通貨の中で、円が直接取引"解禁"の第1号になったのは、円の通貨価値が相対的に安定していることに加え、「中国にとって米国に次ぐ第2の貿易相手国である日本から決済で受け取るドルを減らしたいという事情がある」(同)。
さらに、リーマンショック後、欧州危機に至るまで、国際金融不安の高まりの中で、中国がドル調達に苦労する局面もあったといわれる。グローバル化時代に通貨が国際化していない弱点を突かれた格好で、「元の国際化に舵を切らざるを得なくなった」(財務省幹部)といえそうだ。