東日本大震災の前週にイルカ50頭打ち上がる
連続で発生したこの「怪現象」は、インターネット上でも話題を集めている。根拠はないが、「放射能の影響か」との声や、「大地震がくる前兆ではないか」と恐れる書き込みも見られた。
千葉県の水産総合研究センターの担当者はこれらの意見に、「どうでしょうかね」と首をひねる。1998年にも房総の漁港で大量のイワシの死骸が上がったが、甚大な被害をもたらすような地震は直後に起こらなかったと説明する。神奈川県水産技術センターに聞いても、同じような反応だ。人間には備わっていない地震予知の「センサー」がはたらいたのではとの見方もあるが、大地震とイワシをはじめとする海洋生物の異常行動との間に因果関係は証明されていない。
ただし、気になる記録が残っていた。2011年3月11日に発生した東日本大震災の前週となる3月4日、茨城県鹿嶋市の下津海岸にイルカの仲間である「カズハゴンドウ」52頭が打ち上げられていたのだ。うち22頭は地元の人たちの手で海に帰されたが、なぜ海岸に迷い込んだのか、原因ははっきりしないままだった。
太平洋をはさんで米ロサンゼルス南部のヨットハーバーでは、震災直前となる米国時間3月9日、カタクチイワシの死骸が数百万匹の単位で浮いているのが見つかったと報じられた。
いずれも巨大地震の前触れだったかどうかは分からないが、今回のようにカタクチイワシの大量死が頻発している現状は、少々不気味ではある。