損失隠しによる粉飾決算事件を起こしたオリンパスが、悪化した財務体質を強めるために進めている同業他社との資本提携協議は、いよいよ大詰めを迎えている。
パナソニック、ソニー、富士フイルムホールディングス(HD)、テルモの他に少なくとももう1社の申し出がある「モテモテ状態」で、比較検討を進めている。
自己資本比率が低くて頼りない
オリンパスは決算書類に損失隠しを反映させた結果、財務の健全性を示す「自己資本比率」は今年3月末時点で4.6%と、「情けない、頼りない数字で危険な状態」(笹宏行社長)。
積極的に設備投資などに打って出にくいだけでなく、思わぬ事業の失速などで大赤字になった時などに債務超過に陥りかねない。このため手っとり早く資本増強するため、経営の柱である内視鏡など医療機器事業で協業効果があるかどうかも踏まえ、第三者割当増資を求めることなどを検討している。
ただ、オリンパスは問題が発覚する前でも自己資本比率は10%強にとどまり、同業他社(例えばニコンは50%程度、キヤノンは70%弱)に比べ、もともと「頼りない」感じではあった。
このため、6月8日に発表した「中期ビジョン」では、2017年3月期に「自己資本比率30%以上」とする目標を掲げた。これは「基本的に自前でできる数字と考えている」(笹社長)。毎年の利益の積み上げや資産圧縮などで可能と説明している。
当面の問題として、危険な状態を脱するため自己資本比率を早期に10%以上にすることを検討しており、そのために他社との資本提携協議を続けている。今の4.6%から10%以上に持って行くには500億円程度のニューマネーの注入が必要になる。