「就活生ですが、自殺することにしました」――。インターネットに、またこんな自殺願望が書き込まれた。そこまではいかなくても、「就活生」の心が不安定になっているのは確かなようだ。
2012年6月8日に政府が発表した「自殺対策白書 2012年版」によると、2011年の学生・生徒の自殺者数は1029人で、初めて1000人を超えた。
自殺者数が急増した1998年を起点とした推移をみても、最近は20歳代の自殺率が高まっており、若年層の雇用情勢が悪化していることが影響していると指摘。何十社と企業を訪問して面接を受けても内定がもらえないことで「就活生」がうつ状態になってくる「就活うつ」になりやすい可能性もある。
就活繰り返しているうちに「うつ」状態に?
ネットに書き込みをした就活生は、自らを「都内にある、そこそこのレベルの私大の4年生」という。「将来の就職を見据えて就職率のいい大学に入り、サークル活動やアルバイトやボランティア活動でネタ作りをして、30人以上にOB訪問を行い、長期のインターンシップに参加し、模擬面接を繰り返しました」と記している。
ところが、就活を続くけているうちに睡眠不足や虚脱感に襲われ、心療内科で薬を処方してもらうようになってしまう。医者からは就活を止められ休養するようにいわれるが、「それでも就活はやめられない」と悩む。
奨学金をもらいながら大学に通っていたことや、家庭環境から自分が働いて家族を支えていきたいという思いが強いようだ。それらがプレッシャーとしてあったのかもしれない。
「就職できないことが問題なのではありません。みんなが乗り越えている『就職活動』ごときで、こんなに病んでしまうことが問題なのです。私は、社会にでてもうまくやっていけないと思います」
そう綴られている。
こんな不安に駆られた就活生はいま、少なくない。雇用・労働問題に取り組むNPO法人のPOSSEは、アンケート調査「2011年 若者の仕事とうつ」でこんな中間報告をまとめている。
激しさを増す就職競争の負担や不安が学生の内面にどのような影響を与えるのかを、就活を一通り経験した大学4年生・大学院2年生とそれ以外の学年を比較することで把握しようと、634人を意識調査した。
その結果、就活が、学生生活を金銭、時間、労力のあらゆる面から圧迫している様子や過酷な就活を経験することによって希望する労働条件の水準を引き下げざるを得ない様子が浮かび上がった。
さらに、驚くべきことに就活生にメンタルヘルスの影響を調べたところ98人のうち、14.4%、じつに7人に1人が「就活うつ」状態に陥っていることがわかったのだ。