2012年6月19日で就任半年を迎える大阪市の橋下徹市長が、自らが率いる「大阪維新の会」の国政進出に否定的な発言を連発している。波紋を広げている。世論調査では、次期衆院選では投票先として維新の会を挙げる人も多く、「台風の目」となるのは確実だと見られているだけに、橋下市長の真意に注目が集まりそうだ。
維新の会は、すでに次期衆院選への候補者擁立を視野に入れた「維新政治塾」を開講しており、すでに約2000人が受講している。また。6月中には、政権公約となる「維新八政」の大綱をまとめる予定だ。
5月26日には1期目の最終講義が行われ、面接で出馬を希望する小選挙区や準備可能な選挙資金の額を調査するなど、着々と国政進出への準備を進めていた。
「国政選挙には、僕は出ない。僕は国会議員には向かない」
ところが、6月8日の橋下市長の定例会見で、これが一変した。民主党は6月5日、政策調査会の役員会で「大阪都構想」を実現するために法案を決定している。前原誠司政調会長は同日、「今国会で成立を目指す」と、前向きだ。大阪市の会見でも、このことを念頭に、
「今国会で(法案が)成立したら、維新の会の国政進出は、なしですか」
と質問が飛んだ。これに対して橋下市長は、
「僕は、そんなに(国政進出を)積極的に考える必要はないんじゃないかと思う。元々、それ(都構想の実現)を目標に掲げてやってきたところなので。それが成立してるのに、(国政進出は)『じゃあ、何のため?』っていう理由とか説明が必要になる」
と都構想関連法案が成立すれば国政に進出する必要がないとの見方を示した。
また、今後の国政選挙に話題が及ぶと、
「国政選挙には、僕は出ない。僕は国会議員には向かない。大阪市長とか大阪府知事とか、直接有権者から選ばれる、そういうポジションだから、今こういう仕事が出来ている。英国のような議院内閣制では、僕はとてもじゃないけど、仕事ができる人物じゃない」
と、自身の出馬を完全否定した。
橋下市長は、6月10日にも、記者団に対して
「あくまでも(都構想)法案成立が第一の目標」
と、同様の発言を繰り返した。