吉本芸人の母親受給でクローズアップされた生活保護を巡って、親族はどこまで扶養すべきなのかが論議になっている。核家族の時代に、兄弟姉妹などまで扶養しろというのではやりきれないとの声もあるからだ。
親族については、民法上は3親等まで扶養義務がある。お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)の場合は、母親以外にも、扶養義務がある親族が生活保護を受けていた。
「一親等とそれ以外では、距離感が大きく違うのではないだろうか」
高額所得者の準一さんに対しては、こうした親族にも義務を果たすべきとの声も出ている。しかし、一般の人たちが年を取ってからも兄弟姉妹を養うべきだなどとするのはムリがある、との意見も多い。
看護師の宮子あずささんは、東京新聞の2012年5月21日付コラムで、3親等まで扶養義務を課すことに疑問をぶつけた。
「三親等というと、曾祖父母、おじおば、甥姪まで。大家族の時代ではないのだから、ここまで扶養しようと思う人がどれだけいるだろう」とし、兄弟姉妹についても「『きょうだいは他人の始まり』と言う。一親等とそれ以外では、距離感が大きく違うのではないだろうか」と指摘した。そのうえで、「対象を一親等に絞り込み、抜け道を狭める方が、現実的ではないだろうか」と提言している。
また、フリーライターの赤木智弘さんは、ブログサイト「BLOGOS」のコラムで5月18日、同様な疑問を明かし、国民を扶養するのはあくまで国の役割だと主張した。赤木さんは、「身内に貧乏な人間がたくさんいたら、その中の一人がいくら頑張ってそれなりのお金を稼げるようになっても、貧乏な親戚に引きずられて、稼ぎを奪われてしまう」と指摘し、「これでは生活保護制度が貧しい人を貧困に押し留めるという、真逆の役割を担ってしまっている」と嘆いた。