読売テレビのワイドショー「ミヤネ屋」は、吉本興業寄りに偏向している――。吉本芸人の母親の生活保護受給を巡って、自民党の片山さつき参院議員がツイッターでこう批判し、物議を醸している。
お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)が2012年5月25日に涙の会見をした後、ネット上では、ミヤネ屋への風当たりが強かった。
出演弁護士も吉本擁護に加担したと指摘
司会の宮根誠司さん(49)を始め出演者らが、準一さんらは不正受給ではないと連呼し、返す刀で片山さつき氏らを政治に利用しているなどと批判したからだ。2ちゃんねるでは、ミヤネ屋の制作会社に吉本興業の資本が半分ほども入っているとして、それが吉本寄りに偏っている理由だとのスレッドまで立つ騒ぎになった。
さらに、5月30日に出演した弁護士が「不正受給ではない」と繰り返したことについて、ミヤネ屋はわざわざ吉本寄りになる人選をしたのではないかとの憶測まで出た。この弁護士は、かつて朝鮮学校の訴訟代理人を務めたことがあり、生活保護を厳格化されると困る在日朝鮮人らの立場に立って物を言ってもらえると考えたのではないかということだ。
こうした騒ぎは、2ちゃんのまとめブログにも取り上げられ、片山氏は6月6日、その1つを紹介して、ツイッターでこうつぶやいた。
「ミヤネ屋で河本梶原を必死に擁護の弁護士が朝鮮学校の弁護士!」
つまり、ミヤネ屋は、吉本寄りの発言が期待できる弁護士をわざわざ番組に呼んだのではないかということだ。いつもの弁護士コメンテーターではないとする2ちゃんの書き込みも紹介している。
そのうえで、片山氏は、「面白い!BPOでガンガンやりましょう!」と呼びかけた。放送倫理・番組向上機構(BPO)で、偏向報道だとして取り上げてもらおうということらしい。
制作会社に吉本資本半分は誤解?
さらに、片山さつき氏は、2012年6月7日のツイートで、ミヤネ屋の制作会社に吉本の資本が入っているとする2ちゃんの書き込みを受けたような発言をした。「当事者である会社の資本が入っている制作会社の作った番組ミヤネ屋、スッキリ他は中立性を持たず、そのことを表示もせずに、一般的な意見を装って世論誘導をしようとした」と訴えたのだ。
そこで、2ちゃんでミヤネ屋の制作会社と名指しされたワイズビジョンに取材すると、総務担当者が「番組を制作しているというのは、事実無根です」と困惑げに話した。あくまで読売テレビが制作する番組で、数十人いる番組スタッフのうち、2人を派遣しているだけだという。
出演した弁護士に在日朝鮮人の生活保護問題に関わっているのかどうかなどを取材しようとしたが、外出中などとして話を聞けなかった。
BPOの広報担当者は、片山氏からミヤネ屋の話を聞いていないとし、発言については、「コメントする立場にはありません」と言っている。
片山氏の発言を巡っては、ツイッターで「生活保護 バンバン ガンガンやってください」などと励ます声も多い一方で、「客観性を欠いてます」「何が問題なんですか?」との疑問も出ている。片山氏が所属するスペクター・コミュニケーションズに取材すると、片山氏は多忙ですぐには対応できないとのことだった。