肝硬変と胃がんのため亡くなった、お笑いトリオ「ヒップアップ」の一員で俳優の小林すすむさんのブログが、死後に更新された。実際には小林さんの妻の手によるものだ。
著名人の中には、亡くなってからもブログはそのまま継続する例が見られ、小林さんのように遺族がメッセージを発する場として活用されることもある。
「突然のお別れになってしまったので」
「またね」との題名で、小林さんのブログは2012年6月5日に更新された。本文は「楽しかったよ。元気でね。小林すすむ」と短いが、小林さんと愛犬が草むらで並んで、差しこむ日の光を見上げているような写真が掲載されている。
小林さんが亡くなったのは5月16日。「ヒップアップ」時代の盟友でコメディアンの島崎俊郎さんや、テレビドラマや映画で大ヒットした「踊る大捜査線」シリーズで共演した織田裕二さんをはじめ大勢が、小林さんの死を悼んだ。その日からおよそ3週間経過してのブログ更新は、夫人の思いがあったのだと、小林さんの所属事務所「ビーボックス」がJ-CASTニュースの取材にこたえた。
「ファンの皆さまには突然のお別れになってしまったので、メッセージを発したかったのです」
ブログの文面も夫人との打ち合わせの中で、小林さんならこんなことを言うだろうと考えたものだという。また今回の更新は、ひと区切りをつけたかったという心境でもあったようだ。それでも今後、不定期に更新は続けていきたいと、所属事務所の担当者は明かした。
ファンからは早速、小林さんに向けて多くのコメントが寄せられている。「やっぱり悲しい」との声もあるが、総じて「お疲れさまでした」「いつまでも忘れません」とこちらも気持をいったん整理するようなメッセージが多い。所属事務所は「これからも応援をしてもらえるとありがたい」と話した。
小林さん本人が語ったようにして死後、新たに投稿されたのはユニークだ。一方、遺族らがブログを継続させていくケースもある。2012年4月8日に死去した安岡力也さんの場合、「その後」の様子が関係者の手で定期的に書きこまれているのだ。
「思い出の場」としてブログを続ける
力也さんの死後、最初の更新があったのは4月12日。「力也ファミリーのスタッフ」名義で、通夜と告別式が終わったことを報告し、ファンへ感謝した。その後も力也さんの戒名を知らせたり、生前の写真を公開したりしていたが、5月28日には「当面、一周忌となる来年4月までは、皆様の思い出の場(コミュニティーの場)とさせていただきたいと思います」と、ブログの継続を明らかにした。
本人自ら「死去」を伝える文章を公開した例もある。作家の吉村達也氏が亡くなった5月14日にウェブサイト上に掲載された「訃報のお知らせ」は、吉村氏が自分で書いたものだ。「みなさん、こんにちは。 長らくごぶさたしておりました。 突然ですが、私はこの度、死んでしまいました」――。あらかじめ用意しておいた内容を出版プロデューサーに託しておいたのだという。
亡くなった後の更新は行われていないが、タレントとして活躍した飯島愛さんのブログは、閉鎖されず今も閲覧可能だ。飯島さんは2008年12月24日、自室で死亡していたことが分かり、ブログは2008年12月5日を最後に投稿が途切れている。それから3年半ほどたった2012年6月7日、ブログのコメント欄は6万8600件を超えていた。「ブログがあってよかった」という人、金環日食や東京スカイツリーの開業など最近の話題について語りかける人など、訪れる人は絶えないようだ。