利益を削って消費増税分を負担 価格転嫁できない中小企業の苦悩

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   消費増税関連法案の焦点の一つが中小企業の価格転嫁問題。増税分を取引価格に転嫁できない中小企業が続出し、経営が一気に悪化、倒産に追い込まれかねないとの懸念が広がっている。

   政府・与党は違法行為の監視強化などの対策取りまとめを急ぐが、果たして実効は上がるのか、中小企業者の理解を得られるのか。

増税後も製品価格を据え置きたい大企業

   企業は製品を売る際に受け取った消費税から、原料などの仕入れにかかった消費税を差し引いて納税する。しかし、デフレが長引く中、増税後も製品価格を据え置きたい大企業が、立場の弱い下請け企業への値下げ要求を強めれば、下請け企業側は自らの利益を削って消費税分を負担しなければならなくなり、実質的に増税分を価格に転嫁できなくなる懸念がある。

   そこで考えられている対策は大きく2本柱。監視強化と「カルテル」容認だ。

   この問題を検討する民主党の作業部会(WT)は2012年5月18日、独占禁止法の改正と、適正に価格転嫁されているかを監視する「転嫁Gメン」の新設を提言した。具体的には、大企業が増税分の転嫁を拒むことを禁じ、悪質な業者には罰則を設ける規定を独禁法に盛り込む。また、公取委や中小企業庁の人員を増やし、価格転嫁が適正に行われているか、中小企業の相談受け付けと実態をチェックする「Gメン」を設ける――などが柱だ。

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