消費税率引き上げで割れる民主党が、原発問題でも割れようとしている。政府が関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)3、4号機の再稼働を目指すなか、「必要な対策がとられていない」などとして、一部の民主党議員が慎重な対応を求める署名を首相官邸に提出した。署名した議員の数は117人にのぼり、党所属議員の3割近い。
プロジェクトチームは再稼働に向けて5条件を提示
署名は2012年5月31日から原発事故収束対策プロジェクトチーム(PT)座長の荒井聡元国家戦略担当相や、PT座長代理の増子輝彦参院議員(福島県選挙区)の呼びかけで始まり、再稼働を「一層、慎重に判断する」ことを野田佳彦首相に求める内容だ。12年4月に、PTでは(1)免震事務棟の建設や(2)新しい原子力規制組織の設置や法整備など、再稼働に向けた最低条件5つを示しているが、署名の呼びかけ文では、これらの条件が「いまだ一つも実現されていない」と指摘している。
6月5日朝にPTと関連作業チームが合同で約2時間にわたって開いた会議でも、対策の不十分さを指摘する声が続出。PTでは、関係閣僚の出席を求めていたが、結局出席しなかったことについても批判の声があがった。
関係閣僚会議に出席している仙谷由人政策調査会長代行は
「運転再開の判断は党が結論を出すものではない」
などと主張、政府の対応に理解を求めたが、谷岡郁子参院議員(愛知県選挙区)は、この時の様子を
「再稼働に賛成の意見はゼロでした」
とツイッターにつづっている。