オウム真理教の元信者、菊地直子容疑者が17年間の逃亡の末、逮捕された。警視庁が、有力な情報の提供者に支払う懸賞金を2012年2月に1000万円へと引き上げた効果が出たのかもしれない。
逮捕に直接つながったのは警視庁への情報提供とみられるが、その前にも相当数の目撃談が警察当局に寄せられていた。懸賞金を手にするのは誰になるだろうか。
「菊地容疑者に似た女が神奈川県相模原市に住んでいる」
警視庁は菊地容疑者に「オウム真理教特別手配者」として懸賞金をかけていた。2012年2月には、それまで300万円だった「捜査別報奨金」を800万円に引き上げる。警察OBの組織が設けた「私的懸賞金」200万円を加えると1000万円に達した。
警視庁のウェブサイトを見ると、捜査特別報奨金の交付は「警察庁において決定されます」とだけ記述されており、具体的な判断基準は分からない。一方の私的懸賞金は、「応募者のうち、オウム特別手配被疑者の検挙に最も寄与した情報提供者に対してお支払いします」となっている。該当者が複数の場合は「各平等の割合をもって懸賞金を分割」する。「検挙に寄与した情報」の判定は、警視庁が行う。
菊地容疑者逮捕に大きく貢献したのは、2012年6月3日朝、警視庁本部を訪れた人物による目撃情報だ。
「菊地容疑者に似た女が2人で神奈川県相模原市に住んでいる」
これにより警視庁はその日のうちに現場に捜査員を派遣、姿を現した菊地容疑者に本人確認をしたところ、素直に認めたため「御用」となったのだ。
この情報提供者が「検挙に最も寄与した」とも考えられる。仮にひとりであれば1000万円を「総取り」する可能性も出てきた。一方で、この情報以前にも有力な内容が積み重なっていたとすれば、その提供者にも「資格あり」と警察側が判断するかもしれない。
実際に、警察庁によると菊地容疑者に関して警察当局に寄せられた情報は、公的懸賞金の対象となった2010年11月以降は447件に上る。特に、懸賞金の額が1000万円となった2012年2月には急増し、初めて月間で100件を超えた。