復興関連事業が一巡すれば厳しい時代が来る
そんな両社が合併にまで踏み切った最大の要因は、将来的に国内の建設需要の伸びは期待できず、「このままいけばじり貧」(業界筋)という業界のおかれた状況への危機感からだ。
国土交通省の調査によると、国内の建設投資額は1990年前後のバブル崩壊以降、減少傾向が続いている。1996年ごろまでは年間80兆円前後で推移していたが、2010年には半分の41兆円にまで落ち込んだ。この1年ぐらいは東日本大震災の復興需要で何とか息をつないでいるのが実情だ。ハザマの小野社長は記者会見で、「いずれ復興関連事業が一巡すれば厳しい時代が来る」と厳しい表情で語り、合併はやむを得ない選択だったとの考えをにじませた。
その被災地の復興需要についても、膨らんでいるとはいえ、「大手ゼネコンの受注は好調だが、下位になればなるほど厳しい。大手と準大手以下の差がいっそう開いている」(中堅ゼネコン関係者)との声もある。規模の小さいゼネコンほど、合併や経営統合など思い切った対応で生き残りの道を模索せざるを得ないのが現状だ。ハザマ、安藤建設の合併に影響され、今後、建設業界にさまざまな合従連衡の動きが生まれる事態もあり得る。