「キンドル」をはじめとした電子書籍端末の普及が進むなか、意外な購入の動機が明らかになった。ハードカバーと違って、電子書籍だと、他の人からは何を読んでいるか分からないことが多い。3人に1人が、いわゆる「エロ小説」と呼ばれる成人向け小説を読んだことがあるのだという。
58%が「何を読んでいるか隠したい」
英メディアが2012年5月下旬に報じたところによると、英国のクーポンサイト「マイ・バウチャー・コーズ」が電子書籍リーダーを持つ人1863人を対象に調査したところ、58%が、電子書籍リーダーを購入した理由のひとつとして「何を読んでいるか隠すこと」を挙げた。また、57%が「ハリー・ポッター」といった子ども向け小説を読んでいることを隠すために端末を利用していると回答。34%が成人向け小説を端末で読んだことを認めた。
5人に1人は、
「電子書籍端末をなくしたとしても、何を読んでいるのか知られるのが恥ずかしいので、返して欲しいとは思わない」
とすら答えており、電子書籍端末は、人に知られたくない自分の嗜好をダイレクトに反映する存在だといえそうだ。
本棚では、みんな「見栄を張っている」
調査を行った会社にとっても、
「電子書籍端末を持つことで、何を読んでいるかを隠しやすくなるが、成人小説を読むために電子書籍端末を買った人がこんなに多かったというのは、驚くべきことだ」
と、予想外の結果だったようだ。
これに対して、紙媒体の本を収納する本棚では、ずいぶん「見栄を張っている」ことが明らかになっている。今回の調査に答えた人の本棚のうち、71%が自伝、政治的な回想録、ノンフィクションで占められていたが、これらのジャンルが電子書籍端末に入っている割合は14%だった。さらに、55%が「本棚の本のうち、3分の1も読んだことがない」と回答し、約10%に至っては、「全然読んだことがない」としている。
これに対応する形で、成人向け小説の市場も急拡大している。販売されている全ての成人向け小説のうち、半分が電子書籍の形式で売られているのに対して、一般的なフィクションでは、電子書籍化されているのは20%にすぎない。また、成人小説を出版しているミルズ・アンド・ブーン社は、紙媒体で55タイトルを発売しているが、電子書籍では、およそ2倍の100タイトルを発売している。