マツダとフィアットが共同開発 次期スポーツカー「相乗効果」に期待高まる

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   マツダと伊フィアットが次期「マツダロードスター(海外名Mazda MX-5)をベースに、フィアット傘下のアルファロメオ向けのスポーツカーを共同開発すると発表し、世界のモーターファンの関心を集めている。

   今回、両社が発表した「協業プログラム」によると、2015年にマツダの本社工場で生産を開始するアルファロメオブランドのスポーツカーは、次期マツダロードスターをベースとしながらも「それぞれのブランドごとに独自のエンジンを搭載する予定」という。これは単なる経営合理化の業務提携と異なり、両社が得意とするスポーツカーの開発で相乗効果を生み出す可能性がある。

トヨタ・スバル連合とはベクトルが違う

   スポーツカーの心臓となるエンジンは、マツダとフィアット(アルファロメオ)の2種類が存在することになり、日本のユーザーもフィアット系のエンジンを選択できる可能性がある。

   次期ロードスターとアルファロメオブランドのスポーツカーをマツダが生産、フィアットが欧州や米国など世界市場で販売する意味は大きい。コストがかかる割には販売台数が少ないスポーツカーの単独開発は、マツダにとって経営的に厳しい判断に違いないが、今回の提携でマツダは開発投資に余裕が生まれるだろう。

   日本ではトヨタ自動車と富士重工業がFRスポーツカーを共同開発したが、開発と生産はスポーツセダンを得意とする富士重工が行い、エンジンもスバルの水平対向エンジンを搭載している。トヨタ86とスバルBRZはサスペンションのセッティングに多少の違いがある程度で、スタイルもほぼ同一の「姉妹車」だが、マツダとフィアットは「独自のエンジンを搭載するほか、マツダとアルファロメオブランドで明確に差別化され、ブランドごとに象徴的なスタイルを持つ」という。トヨタ・スバル連合とは共同開発のベクトルが明らかに異なる。

   マツダの山内孝会長・社長兼CEOは「次期『ロードスター』をベースにオープン2シータースポーツカーの先駆者とも言うべきアルファロメオとの協業に大きな期待を寄せている」とコメント。フィアットのセルジオ・マルキオンネCEOは「マツダはコンパクトなFRオープンスポーツカーのリーダーとして広く認識されており、彼らと協力し、アルファロメオ伝統のエキサイティングなスポーツカーを作っていく」と表明している。ファンの期待は高まるばかりだ。

「世界一」の記録を更新してきた実績

   マツダロードスターは、1989年に「ユーノス・ロードスター」として初代モデルがデビュー。欧州では同年にドイツのBMWが2人乗りの小型オープンスポーツカー「Z1」を発売。1990年代から2000年代にかけ、英国のMG、イタリアのフィアットバルケッタなど、マツダロードスターの影響を受けた2人乗りの小型オープンスポーツカーが次々と誕生した。

   しかし、フィアットバルケッタはじめ世界のライバルの多くはスポーツカー市場の縮小とともに撤退した。その中で、ロードスターは「2人乗り小型オープンスポーツカー」の生産累計が「世界一」の記録を更新し続け、英ギネスブックに認定されるなど、マツダはニッチなスポーツカー市場ながら世界中にコアなファンを確保し、少量生産を粘り強く続けてきた。

   フィアットは、かつてのX1/9からバルケッタに続く小型オープンスポーツカーの系譜があり、アルファロメオにはアルファロメオスパイダーという長い伝統を誇る小型オープンモデルが存在する。欧州の名門メーカーとマツダの提携は、スポーツカーの開発・生産にとどまらず、今回の成果しだいでは将来的な資本提携関係に発展する可能性もある。

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