日立とNECは支援に強く尻込み
このため、今回のルネサスはマイコン事業を中心に経営を立て直すことになる。国内に19ある工場は閉鎖を含め整理統合することになるが、リストラはシステムLSI事業が中心になる見込み。マイコン事業でも台湾のTSMCに一部生産委託するかもしれない。
主力の鶴岡工場の売却先もTSMCが有力視されている。子会社のルネサス山形セミコンダクタが運営するシステムLSIの主力工場で、従業員は約1300人。最先端の生産設備を誇り、ルネサスのシステムLSI工場としては最大規模。TSMCは半導体メーカーから委託を受ける生産に特化する「ファウンドリー」と呼ばれるタイプのメーカーとして世界最大手だ。
とはいえ、問題は母体3社が金融支援を引き受けるかどうかだが、今のところ視界不良だ。すでに3社は09年、10年の合計で2000億円を出資して支援している。そのうえ、12年3月期に自身が1102億円の最終赤字に沈んだNECからは「一度切り出した事業を支援する余裕はない」(幹部)との声が聞かれる。赤尾泰社長の出身である日立も、ルネサス支援にはやや否定的なスタンス。三菱電機も及び腰だ。
そこをどう調整するのか。取引先銀行を含めた関係者によるギリギリの協議が続くとみられる。