円高進みユーロ11年半ぶり95円台 背景に欧米の高い失業率

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   円高が止まらない。ニューヨーク外国為替市場は2012年6月1日、円がドルやユーロに対し急伸した。

   米国では5月の雇用情勢の改善ペースが急速に鈍化しているとの見方が広がったこと、欧州でも4月のユーロ圏の失業率が11.0%と過去最悪を記録したことから、円の「独歩高」が強まった。

ドルは3か月半ぶりに78円台突破

   米国の2012年5月の失業率は8.2%で、0.1ポイント上昇した。前年5月以来11か月ぶりの悪化で、これが公表されると78円00~10銭で推移していた円相場は直後から「買い」が優勢となった。ドルに対しては一時1ドル77円66銭と、2月14日以来ほぼ3か月半ぶりに78円台を突破した。

   5月の雇用統計は非農業部門の雇用者数が6万9000人増にとどまった。1年ぶりの低水準で、市場予想(15万人増)を大幅に下回ったことも大きな「減点」材料となった。

   いずれにしても、米国の雇用情勢の改善ペースが急速に鈍化したとの見方が広がり、ドルを売って円を買う動きが優勢になった。 東京外国為替市場でも6月1日の終値は、1ドル77円98銭で引けた。

   欧州はさらに深刻だ。欧州連合(EU)統計局が6月1日に発表した4月のユーロ圏の失業率は11.0%と、1999年のユーロ導入後の最悪を記録。3月分も当初発表の10.9%から11.0%に改定された。この影響で、ユーロに対しては1ユーロ95円59銭と、2000年11月以来11年半ぶりの円高水準まで「円買い」が膨らんだ。

   なかでも、スペインの失業率は24.3%、ポルトガルは15.2%、イタリア10.2%とそれぞれ前月よりも悪化。若年層の失業率が高止りしており、スペインでは25歳以下の失業率が51.5%と、若者のほぼ2人に1人が失業している状況だ。

   スペインやポルトガルなどの南欧諸国の雇用情勢の悪化が目立ち、EU域内の「格差」ははっきりしている。1日の東京外為市場は1ユーロ96円94銭で引けたものの、EU域内の景気後退の懸念が強まり、ユーロ売りがさらに膨らむ悪循環であることに変わりはない。

   ちなみに、総務省によると日本の4月の完全失業率は前月比0.1ポイント悪化して4.6%だった。

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