東京電力の社員に2012年冬のボーナスとして1人あたり平均約40万円が支給される可能性が出てきた。東電は、政府が1兆円の公的資金を資本注入して実質国有化することを受けて、今夏の賞与を見送るが、今冬以降は未定としていた。
ところが、家庭用電気料金の値上げの原価を精査している経済産業省の電気料金審査専門委員会で、今冬以降の3年間のボーナスに相当する費用として約732億円を人件費に計上。つまり、業績が赤字であろうが、向こう3年間はボーナスを支給するというのだ。
今冬は1人平均40万円、来年は倍増見通し
東電が計上したボーナス相当額の内訳は、今冬が147億円、13年度が294億円、14年度は291億円。12年度は3万7254人が人件費の算定対象となっており、単純に計算すると今冬は1人あたり平均約40万円のボーナスが支給されることになる。また内訳によると、13年冬には倍増される見通しになる。
5月29日の電気料金審査専門委員会で、東電の高津浩明常務は「福利厚生なども大幅に削減しており、事故のあった福島第一原子力発電所の廃炉や電力の安定供給の技術とそれを担う人材の確保の観点から現行水準で理解してほしい」と説明した。
東電のいう「現行水準」とは、原発の事故後に管理職が年収25%、一般社員が20%の削減を実施。社員全体の年収で平均556万円まで抑制した、これを指している。東電は、「新たな人材の育成のためにも、人材の流出を防ぎたい」と強調。年収ベースでこれ以上の削減はしない方向で理解を求めている。
しかし、これまでの会合でも、委員からは「人件費のカット率は、実質的に経営が破たんしている企業の合理化策としては低すぎる」との厳しい声があった。それにもかかわらず、ボーナスにかかる経費を計上してくるのだから、「厚顔無恥」も甚だしい。
経産省には、
「国民に電気料金の値上げをお願いしておいて、その一方で社員にボーナスを出すなどということを認めるべきではない」
「公的資金を入れて生き残った企業の社員に、なぜボーナスを支払う必要があるのか」
などの声が寄せられているという。
ネットの掲示板などにも、
「やっぱり大企業は優遇されてるよね。そこらの中小零細企業なんか、もう何年もボーナスなんか出てないよ」
「倒産した会社なんだから、雇用があって給与が出るだけでも恵まれてるってことが、わかってない。結局のところ、社員もダメだ」
と、厳しいカキコミが見られる。