経済界からの意向も働いていた
自民党大阪府連の関係者は、取材に対し、「もし計画停電などが行われるようになれば、企業に大きなダメージになります」と指摘する。
大阪は、町工場などの物作りが盛んなことでも知られ、停電になれば大きな影響が出る恐れがある。「それで企業が大阪から出ていくことになれば、景気の底上げもできません。橋下徹市長が率いる大阪維新の会には、経済人も多く参加していますので、その声を聞き入れたのでしょう」
また、民主党大阪府連の関係者は、同様な見方をしたうえで、こう批判した。
「彼は、不満を持っている人のネタをかき集めて、過剰にあおる手法ですからね。もともとムリだと分かっていたので、いずれそうなるだろうと冷ややかに見ていました。今は、老朽化した火力発電を無理やり稼働させている状態ですので、9月に原発稼働をストップさせるのも難しいのでは」
橋本市長側も、立場は違うものの、経済界の意向があったことは認めている。
元経産官僚で大阪府市統合本部特別顧問の古賀茂明氏は、テレ朝系「モーニングバード!」で2012年6月1日、こう明かした。
「関西電力が『この夏は大変ですよ』と各企業を回っているなかで、『計画停電もありますよ』と圧力をかけた。計画停電と聞けば企業としては何とか動かして欲しいとなる。首長さんによっては経済界のサポートで選挙を戦っている人もいて、首長らにかなり圧力がかかった」
そこで、橋下市長は、夏の期間限定で再稼働を容認するという現実的な対応をしたというのだ。
とはいえ、知事選出馬などで前言を翻すことも多かっただけに、政治的な駆け引きによっては今後も容認するのではないかとの見方も出ている。
関西電力によると、原発の9月停止は物理的にはできるという。しかし、いったん立ち上げた原発については、継続して稼働させたいと言っている。