2011年に東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)から福岡市に転入してきた人の数が急増していたことが明らかになった。東京圏からの転入が転出を上回るのは1996年以来、実に15年ぶり。東日本大震災の影響で避難してきた人が多かったことが背景にあるとみられる。
「子育て世代」の転入が急増
福岡県が公表している「人口移動調査」をもとに市が独自集計したところ、2010年の東京圏からの転出者は1万541人だったのに対して、11年は31.5%増の1万3861人だった。一方、福岡市から東京圏に転出した人は10年は1万3359人だったが、11年は4.7%減の1万2725人だった。世代別にみると、特に変化が大きいのが、いわゆる「子育て世代」だ。転入数から転出数を引いた数(純増・純減数)で比較してみると、0~14歳は、10年は239のマイナスだったが、11年は681のプラスに転じている。25~34歳も、同様に613のマイナスが704のプラスになっている。35歳~44歳についても、231のマイナスが669のプラスになっている。
実はこの転入増が、希望する保育所には入ることができない、いわゆる待機児童問題にもつながっている。福岡市の「こども未来局」の5月29日の発表によると、4月1日時点での待機児童数は893。前年度比で166人(22.9%)も増えている。
高島宗一郎市長は、この日の会見で、
「吸収しきれない166人分が出てきた。これは震災の影響も大きい」
「放射能とか地震の影響を考えて関東圏から移ってきた、もしくは旦那さんだけ単身赴任していて、奥さんと子どもだけいらっしゃる。色んなケースがある。そういう方がずいぶん来ている」
と話した。
人口は20年後には160万人にまで増える
なお、この調査結果とは別に、今後福岡市は、大きく人口が伸びることが予測されている。12年5月1日時点での福岡市の推計人口は、148万7972人。福岡市の5月22日の発表によると、2035年には約160万人に達するとみている。
全国的には高齢者の数が増加するのはもちろん、生産年齢人口(15歳~64歳)が2035年頃までに約2割も減少するとみられている。これに対して、福岡市の生産年齢人口は約2%減と横ばいで推移するとみているためだ。予想通り人口が増加すれば、政令指定都市としては、神戸市を抜いて5番目の人口になる。
高島市長はこの日の定例会見で、
「消費購買層というもの(の人数)が、これから福岡では20年間変わらない。日本の人口自体が減ってきている中で、これは非常に活力の源になってくる」
と胸を張っていた。