中国外務省「全くもってくだらない」と完全否定
筒井副大臣はこうしたことに関し、書記官に機密文書を見せたり伝えたりしたことは「全くない」し、その他外部にも機密文書を渡したことも「一切ない」と否定している。ただし、騒ぎが大きくなったことで、鹿野道彦農林水産相は5月30日、省内に調査チームを設けると発表している。
こうした一連の事件が事実ならば農水省の大スキャンダルとなるが、読売新聞の一連の報道を継続して大きく後追いする新聞は、産経新聞を除くとあまり見受けられない。そればかりか、実は、書記官のスパイ容疑ですら間違っているのではないか、と匂わせる報道も出始めた。
朝日新聞の5月31日付によれば、最初に問題となった書記官の銀行口座は十数口あるが、外交官身分を隠して開設したものは1つだけで、その口座には妻が勤務していた健康食品会社から給与が振り込まれていた。また、書記官が政治家や官僚に接する機会は度々あったが、
「違法な情報収集を行った形跡は確認されていない」
という捜査関係者のコメントを掲載している。当初、日本企業からの「顧問料」と思われていたお金が妻の「給与」であった可能性がでてきたわけだ。警察幹部の間ではスパイというより、個人的な蓄財で、単なる不祥事なのではないかといった声も出ていると書いている。
中国外務省は5月30日に、書記官に外国人登録法違反の疑いが出ていることに対し、定例記者会見で、外国人登録証を不正に更新した疑いについては調査するが、スパイ容疑については、書記官を日本を研究している学者とは言えるが、「全くもってくだらない」と完全否定した。
果たして「スパイ」なのか、それとも本来の任務とは別の個人的な不祥事なのか、まだ進行中の疑惑だけに、当面は捜査等の推移を慎重に見守るしかなさそうだ。