上場維持で損害賠償はトーンダウン?
一方、オリンパスが抱える訴訟には株価急落によるものもある。同社の株価は、ウッドフォード元社長が解職される前日の2011年10月13日に2482円を付けていたが、損失隠しの発覚で11月11日には一時424円と5分の1にまで下落した。それによる損害賠償請求だ。
同社によると訴訟の件数は、国内では現在把握しているものだけで9件。「訴状が届いていないものもあり金額については公表できない」としているが、J-CASTの調べでは、少なくとも12億4000万円あることがわかっている。
海外では、米国預託証券(ADR)の値下がりによる損失についての訴訟が1件、約20億円が請求されている。
当初は「2000億円は下らない」ともいわれた損害賠償金額だが、ケタ違いに減った。企業法務に詳しい仲江武史弁護士は、「賠償金額と訴訟費用とを考えたときに、『負けたら損するだけ』と考えた株主や、株式の上場が維持できたことで、引き続きオリンパス株を保有して株価の戻りを期待しようという株主が現れた」ことが減った原因とみている。
もちろん、同社の株価はいまだ低迷したまま。株主による損害賠償請求も「地裁で勝訴すれば、勝ち馬に乗ろうという人が出てくることはあります」(仲江弁護士)という。
とはいえ、同社は別途、旧経営陣や旧監査役に対して46億1000万円を上限に損害賠償請求しているので、結果的にそれで「相殺」できる可能性もある。