吉本芸人の問題発覚でクローズアップされた生活保護については、ネット上などで、様々な抜け道の情報が流布されている。一部の若者らには「ナマポ」の隠語で呼ばれ、もらえるものはもらえばいいといった意識も強くなっているようだ。
「生活保護」に加え、「裏マニュアル」「裏技」などのワードで検索すると、ネット上では、怪しげな情報がたくさん出てくる。
ネット上では、「裏技」などの怪情報も
その多くが、福祉事務所の目をいかにすり抜けるかに重点が置かれている。例えば、医者の診断書をもらうことだ。診断書がもらいやすい、商売気のあるゆるい個人病院を探し、うつ病や腰痛などと訴え続けて書いてもらうことが勧めてある。
また、役所の管理職を押さえてしまったり、大きい声を出せる友人を同席させたりすることを呼びかけるサイトもあった。福祉事務所が年齢の若さを理由に断ろうとしたら、法的な根拠を示すように圧力をかければいいなどとも書かれている。
高齢化や不況などの影響もあって、生活保護受給者は、過去最多の200万人を突破した。特に、15~64歳の働ける世代の受給は、全体から見ると少ないが、5年前の11万世帯から23万世帯へと倍増しているのが目立つ。
不正受給が発覚したのは0.4%で、マンパワー不足や調査権限の欠如による限界を指摘する声も強い。不正の例として、離婚を偽装するなど悪質化の傾向も言われているようだ。
「ナマポ」などと呼ばれ関心が強いのは、働いたり年金をもらったりするより、収入が多いと見られているからだ。
厚労省の保護課によると、東京都区部では、33歳、29歳、4歳の3人世帯で、生活扶助が17万円余、住宅扶助が6万円余(上限)が支給される。このほかに葬祭、教育など全部で8種類の扶助があり、場合によっては、母子加算なども付く。しかも、医療費、介護費、住民税、国民年金料、NHK受信料が無料だ。
「年金より生活保護のほうが裕福なんて矛盾」
生活保護の不正受給実態を特集した週刊女性の2012年5月29日発売号では、最低賃金で働いても月に11万円余にしかならないのに、生活保護の場合は、その倍以上ももらえるケースがあると指摘した。
都区部なら、住宅扶助の額も高く、母子加算もあるとすると、月に26万円余になるとする。離婚したようにみせかけて不正受給したという横浜市の家族は、様々な扶助を含めるなどすると、働かないのに年収が400万円ほどに達したというのだ。
お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)を巡る騒動では、ヤフーニュースのコメント欄上位は、生活保護のあり方への疑問が占めた。「生活保護の審査をもっと厳しろ。年金より生活保護のほうが裕福なんて矛盾している。今のままだと税金や年金なんて払いたくない」「保護費の返還だけ?。免除になっていた医療費・介護保険料、その他は?。。」といった声だ。
小宮山洋子厚労相は、生活保護支給額の引き下げを検討するなどと表明したが、それだけだと本当に必要な受給者が困るとの指摘が出ている。政府は、調査権限の強化なども含めた抜本的な対策を行うことを今後迫られそうだ。