テレビは「主力事業」次いで環境・エネルギー
業績不振の原因は、テレビ事業だ。2011年度の売上高は、前年度から8464億円も減少した。このうち、超円高の影響で約2000億円が減少。残り約6400億円のうち、薄型テレビなど主力のAV機器事業の減収が7割を占めていた。
5月11日の決算発表時に、大坪社長は「06年にプラズマTV、08年に液晶TVへの大きな投資を決めたが、結果として過剰投資になった」と語った。プラズマTVには延べ6000億円を投じたが、超円高の影響と韓国勢によるテレビの低価格の攻勢によって、「当初目指した台数をつくったとしても赤字になる」(大坪社長)ほど苦戦した。
ただ、テレビ事業は赤字とはいえ、パナソニックの売上高約8兆円のうち、1兆円近くを稼ぎ出す主力事業だ。同社も、「引き続き注力していく事業であり、テレビ、半導体事業は今期中の赤字撲滅を目指す」と強調する。
優先順位をつければ、「まずテレビ、半導体事業があって、次いで成長分野の環境・エネルギー、白物家電事業」と続く。実際に、リチウムイオン電池事業などの売上高は約6000億円だし、太陽電池事業に至っては1000億円弱でしかない。
テレビ、半導体事業の業績回復は厳しい過ぎるくらい厳しい。そうした中で、人員削減や資産売却で収益を確保できているうちに、「環境革新企業に脱皮していく」(津賀次期社長)という「計算」だが、果たしてうまくいくのだろうか。