東電本店「一部撤退」の具体的内容把握せず
菅氏が東電本店に乗り込んだことについては、
「菅総理が早朝来られて、我々が全く考えてもいなかった全員撤退を『あり得ない!』とおっしゃったので、あのー、私としては、どう、何と申しますか、違和感があったな、というところ」
と困惑を隠さなかった。ただし、東電が申し出たとされる「一部撤退」の内容については、
「本店から判断がつかなかったので、そこは発電所が必要な人間を残すということで、判断をするというように思っていた」
と、具体的には把握していなかった。
勝俣恒久会長も、5月14日に、
「基本的に、我々は全然考えていません。当然の事ながら、その前から生死の問題がかかる話でも、職員は、頑張って色々な調査等々をしてもらっている中で、そんなことは全く考えていない」
と述べた。
政府・官邸側は、東電に主張に真っ向から反論。
海江田万里経産相(当時)は、5月17日に、
「『退避』という言葉があったが、『一部』との話はなかった」
と、「全面退避」だと受け止めたことを明かしているし、枝野幸男官房長官(当時)も5月27日、
「『そんなこと(全面撤退)したら、コントロールできなくて、どんどんどんどん事態が悪化していって、止めようがなくなるじゃないですか?』というような趣旨のことを、(清水氏に)私から指摘している。それに対して、口ごもったような答えだったので、『部分的に残す』という趣旨でなかったのは明確」
と述べた。菅直人前首相も、5月28日の国会事故調で、
「海江田経産大臣が来て、『東電から「撤退したい」、そういう話が来ている。どうしようか』。そういう形で撤退の話を聞いた」
と語っている。