テレビショッピングでおなじみの通信販売大手、ジャパネットたかたが東京に本格的な事業拠点を設けて進出する。2012年夏にも、「東京オフィス」をオープンする。
1986年に創業して以来、同社は長崎県佐世保市に本社と専用のスタジオを構え、高田明社長自らが、独特の甲高い声と言葉遣いでテレビや家電商品などを紹介する姿がお茶の間に浸透して「全国区」に躍り出た。「東京」で何をしようというのだろう――。
商品の「使い方」を提案する手法で売上げ増
「ジャパネットたかた」は、2011年12月期の売上高が前期比13%減の1531億円、経常利益は46%減の74億円となった。他の家電量販店と同様に、2011年夏の地上デジタル放送への完全移行後の薄型テレビの需要落ち込みが大きく響いている。
とはいえ、約500人の社員を抱えて、自社制作の通販番組を全国に配信し、福岡市のコールセンターではオペレーターが1日最大3万件ものコールを受け付ける。
1990年にラジオを皮切りに、1994年からはテレビ、その後に新聞広告や折り込みチラシ、インターネットへと相次いで媒体を増やし、メディアミックスを用いて通販業の大手に成長した。
同社によると、テレビショッピングは地上波で年間8000回超を放送。CSチャンネルでは「ジャパネットチャンネルDX」という専門チャンネルをもち、24時間放送している。高田社長の姿をテレビで見ない日はないといってもおかしくない。
同社は、「お客様に喜ばれる商品」を発掘するばかりでなく、商品の機能や使い方までを詳細に伝えることで「利用者の暮らしを快適にする」ことを重視している。商品PRは、「その商品を使えば生活が、人生がどう楽しく豊かになっていくのかを語る」ことだという。
そのために、CS放送では1つの商品に平均7分以上を費やして紹介し、新たな切り口を提案することでマーケットの開拓も手がける。また、入手した情報をメーカーにフィードバックし、その情報を新商品の開発やリニューアルに役立ててもらうわけだ。
この手法を、東京で「加速」して展開する。東京進出の狙いについて、同社は、「首都圏にはさまざまなメーカーの本社があり、商品情報も豊富です。消費者のニーズを探るうえでも、国内最大消費地である東京に事業拠点を置くのがよいと判断しました」と説明する。