コンビニエンスストアのアジア進出が鮮明になってきた。国内店舗が飽和状態になってきたことや少子高齢化の影響もあって、経済成長の期待が高いアジアに活路を求めている。
これまでは中国や台湾、韓国が主な出店先だったが、最近はベトナムやインドネシア、ミャンマーへと移ってきた。
ミニストップもミャンマーへの進出を検討
積極的な海外進出によって、コンビニの店舗数は国内外の「逆転」現象が加速している。コンビニ大手の店舗数は、ファミリーマートで国内約8800か店、海外約1万1500か店とすでに逆転。ミニストップが国内外とも約2120か店と「ちょうど、並んだところ」(広報担当者)だ。ローソンは国内約1万600か店、海外約390か店(いずれも、4月末時点)の状況。
セブン‐イレブンは米子会社が各国・地域にライセンス供与しているケースが大半のため、直接投資する他のコンビニと同列には比べられないが、国内約1万4000か店に対し、中国や韓国、タイなど東南アジア8か国だけで約2万2000か店(3月末時点)を有する。
そうした中で、ローソンは4月にミャンマーへ進出する方針を固め、すでに現地に入って市場調査を行っている。1号店の、年内開店を目指している。
ミャンマーは小売り全体の9割を伝統的な市場や、いわゆる露天商が占める。しかし6000万人以上の人口を抱え、民主化の進展に伴う消費市場への成長が期待できる。
ローソンは現在、中国に約350か店、インドネシアのジャカルタには15か店を出店して足場を固めているところだが、今後はインドやベトナムといったアジアを中心とした、まだ出店していない地域への展開にも力を入れていくという。
ミニストップもミャンマーへの進出を検討。「前向きな姿勢にあります」と意欲的だ。現地小売り最大手のシティマート・ホールディングスと事業展開に向けた市場調査などを進めていて、提携を模索中。こちらも年内にも1号店を出店したい考え。
同社は近くカザフスタンに、地元企業などとの合弁会社が立ち上がる。早ければ10月にも1号店を出店する計画だ。
「ファミマ」は韓国に溶け込んでいる
コンビニの国内店舗数は5万店が飽和状態といわれている。東レ経営研究所のシニア産業アナリスト、永井知美氏は「現在4万5000店ですから、ほぼ飽和状態。空白地があるとしても、そういった場所はおそらく出店しても採算があわないのでしょう」と指摘する。
とはいえ、海外進出にも不安はある。中国への進出はどのコンビニも早かったが、北京や上海といった大都市でさえ、外資系企業にかかる規制の「壁」に阻まれて思うように利益を上げられないでいる。ベトナムやミャンマーなども「未知数」な点は少なくない。
ただ、「例外」もある。ファミリーマートは韓国で大健闘している。同社は現在、韓国に7000店超を出店しているが、「競争が激しくなる中で地元企業だと思って利用している韓国人は少なくないですし、利益も上がっています」と話す。
永井氏は成功の理由を、「コンビニの場合、『一番乗り』がヒケツです」と語る。いち早く出店し、地域に溶け込むことが成功への近道とみている。たしかに、ファミリーマートは韓国への出店、「一番乗り」だった。
「引き続き中国などにも出店の余地はありますが、(ミャンマーなどで)一番乗りすることで成功する可能性は高まると思います」と話している。