「テレビの次」が見えない家電3社
テレビへの見切りでもっと先を行くのが日立製作所。9月末には最後の生産拠点として岐阜県美濃加茂市の工場で続けている高級テレビの自社生産を終え、すべてのテレビ生産を他社に委託する。
東芝、日立に対し、ソニー、パナソニック、シャープの家電3社はテレビ事業の収益改善策は打ち出しているが、「撤退」までは決断していない。日立、東芝は火力発電所や通信システムといった国家に寄り添う社会インフラ事業が主力。家電3社も社会インフラ事業をやっていないわけではないが、心許ないレベルだ。
今パナソニックやシャープが頼りにしているのは、地道に稼げる冷蔵庫や洗濯機といった白物家電事業で、ソニーは映画や音楽、金融事業だが、いまだにテレビも主力事業の一つ。仮に撤退などすれば下請け企業なでに与える影響が大きいことに加えて「テレビの次」の収益源が明確には見えていないことから撤退には踏み切れないのが実態だろう。
しかし、その間にも汎用品化が進む。赤字を垂れ流すテレビ事業にしがみついても経営を立て直せない可能性もあり、「早晩テレビ撤退の決断迫られる」(国内証券系アナリスト)との見方は根強い。