母親の生活保護受給について、お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)が会見で、道義的な問題があったとして涙目で謝罪した。ネット上では、「もう許してやったら」との声もある。しかし、説明が不十分との不満もくすぶっているようだ。
まず謝罪から始めた河本準一さんは、カメラの前で15秒ほども深々と頭を下げた。吉本興業東京本部で2012年5月25日にあった会見は、100人以上もの報道陣の前で、それから約30分間続いた。
ネット上では、評価する声もあるが…
準一さんは、受給は事実と認めたうえで、芸人を始めて2、3年後の14、15年前から、母親が病気をきっかけに生活保護の受給を始めたとした。福祉事務所から母親の面倒を見られないかと聞かれたが、準一さんの年収が100万円を切る状態であることを理由に辞退したという。
テレビ出演するようになった5、6年前に再び福祉事務所から聞かれ、今度は一部を援助した。さらに、12年1月には援助を増額し、生活保護を打ち切ったのは4月になってからだった。半年ほど前から打ち切りの話し合いをしていたというが、騒ぎの元になった女性誌報道などがあったからだ。
会見に付き添った渡邉宙志弁護士らは、不正受給はないと強調したが、収入が増えたときに止めなかった道義的な責任があるとした。準一さんは、言葉を詰まらせながら、「今になっては、めちゃくちゃ甘い考えだと深く反省しております」と再び頭を下げた。そのうえで、「お世話になった分のお金をお返ししたい」と明かした。具体的には、援助を始めた5、6年前からの受給分を返納することを検討しているという。
準一さんがようやく釈明して謝罪までしたことで、ネット上では、評価する声も出ている。「逆に好感度上がったろ」「元々は制度や役所が悪いのにね」「もう許してやれよ」といった書き込みがそれだ。
以前のペースで仕事できるか不透明
この問題を追及してきた自民党の片山さつき、世耕弘成両参院議員も、それぞれ会見やツイッターで好意的なコメントをした。「自らの言葉で事情を説明し、『生活保護費を返納する』と語ったことは評価する」(片山氏)「彼の返納表明で『生活保護の前にまずは家族による扶養』という常識が浸透することを期待します」(世耕氏)。
一方で、河本準一さん側は、プライバシーを理由に説明を拒むなどもしており、未だに受給の全容が分からないのも事実だ。例えば、母親以外の親族も生活保護を受給していることについてだ。
こうしたこともあってか、ネット上では、「わかりやすい泣き落とし」「マスゴミも追求が足りない」「オカン以外もおるやろ?まとめて払えや」といった不満も出ている。親族の受給については、週刊誌報道をうたったデマも流されているほどだ。
所属事務所のよしもとクリエイティブ・エージェンシー側は会見で、今後もスケジュールに沿って、準一さんが次長課長のコンビで芸能活動を続けると明かした。竹中功専務は、「お笑いを届ける会社として、精一杯、来週以降も活動を続けていきますので、ぜひとも応援をよろしくお願いします」とも話した。とはいえ、本当に今まで通りのペースで仕事ができるのかは、不透明のままだ。
ステップワゴンのサイトから準一さんの姿を削除した本田技研工業では、復活に慎重な姿勢を示す。広報部では、「現状では、そのままにします。今後については、契約先の吉本と協議して決めたい。会見内容については、コメントを差し控えさせて下さい」と言っている。PRメンバーからも準一さんを外してあるという。
本田は、騒ぎを受けて、「事実関係が明らかになるまで掲載を自粛する」としていた。