携帯のストラップに「ちりめんふくろう」をちょうだいした(=写真)。会津の「起き上がり小法師」よりはちょっと大きい。製作者は富岡町の93歳のおばあさんだ。
日曜日(5月20日)、イトーヨーカドー平店2階にある被災者のための交流スペース「ぶらっと」で、「富岡町民の集い」が開かれた。20人余が参加した。その中におばあさんがいた。娘さんと一緒だった。
おばあさんはちりめん細工が得意だ。富岡町の夜ノ森に住み、ストラップをつくってはみんなに配って喜ばれていた。
3・11後は避難を余儀なくされ、今はいわきで借り上げ住宅に住む。話し相手もいない日々。
娘さんがたまたま旧「ぶらっと」(いわき駅前再開発ビル「ラトブ」)を訪ね、母親のつくった「ちりめんふくろう」を飾ってもらうことになった。欲しい人はどうぞ――飾ると、すぐなくなった。たまっては「ぶらっと」に飾る。すぐなくなる。張り合いがまた出てきた。
おばあさんは一度、娘さんと「ぶらっと」を訪ねた。偶然、夜ノ森の近所に住む人と再会した。「福」を呼ぶ「ちりめんふくろう」とはこのこと。いよいよ、おばあさんは「ちりめんふくろう」づくりに精を出した。
「集い」が終わって、娘さんとおばあさんがスタッフ・ボランティアのテーブルにやって来た。茶飲み話第二ラウンドだ。つくりためたストラップをいくつかテーブルに出す。その一つをいただいた。
おばあさんのきめの細かい仕事ぶりに質問が集中した。「ふくろうは一つひとつ違うの」「(ふくろうを)つくっていると肩がこらないの」「つくってプレゼントするのが楽しみ」。やせて小柄な人だが、ことばは骨太だ。
6月5日には「ぶらっと」で「ちりめんふくろう作り」教室の先生を務める。「ぶらっと」で開かれる教室のなかでは最高齢の先生ではないだろうか。
(タカじい)
タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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