女性の心をつかみ、企業も注目
熊坂氏によると、米国では主婦層を中心に女性が利用者全体の8割を占める。料理のレシピやファッションといった分野で写真をコレクションする人が多いそうだ。検索して探し出すのではなく、画像から画像と渡り歩くうちに自分の感性に合ったものが見つかる「発見の楽しさ」が、特に女性の心をつかんでいるのだろう。「ウインドーショッピングと似ています」と熊坂氏は説明する。
趣味の範囲にとどまらず、仕事上で活用される事例も出てきた。例えばネイリストが、客に対してネイルアートを集めた画像を見せる、という具合だ。言葉で説明するよりもビジュアルに訴えた方が理解してもらいやすいファッション関係の職種などで、使い方の幅が広がるかもしれない。
米国だけでなく日本でも徐々に広まり始めてきた。40代の男性ユーザーは、「ユニークな画像を投稿すると数秒後に海外の利用者から『repin』されることがあり、うれしい」と話す。企業でも、資生堂がメーキャップブランド専用のピンタレストページを開設し、商品やイメージ写真を公開している。
2012年5月17日には、楽天がピンタレストへの出資を発表した。三木谷浩史会長兼社長は5月24日付「日経ビジネス」(電子版)のインタビューで、出資の検討時期について「その場ですぐにやるって決めました」と明かした。楽天に与える影響として「グラフィックスのパワー」を挙げ、「発見する喜びを感じながらショッピングを楽しむ」時代がくると予測、シナジー効果を期待する。ピンタレストに女性会員が多いことも、同じく女性利用者が半数以上を占める楽天のオンライン市場と相性がよい点を強調した。
いま日本で利用するには、英語版の英語の説明文を読んで操作する必要がある。熊坂氏は「楽天主導で、ピンタレストの日本語版制作が進むのではないか」と今回の出資に注目する。日本版ができて、楽天ユーザーとの連携が進めば、日本でのピンタレスト利用者も増えていく可能性は高い。「今夏あたりから日本でも人気が上昇していくのではないでしょうか」と考える。