政府は、民間に押しつけノラリクラリ
この点について、需要を過大に、一方で供給を過小に見積もっているのではないかという疑問が出ていて、ここでも国民の納得は得られていない。さらに、政府からは原発再稼働がなければ電気料金が上がるという声が出始めた。藤村修官房長官は「原子力を止めれば、燃料コストの増加で電気料金上げが避けられない」といった。
このように理由がコロコロと変わる政府の説明ぶりはきわめて不味い。安全性について国民を説得しておけば、電力需給も電力料金値上げも理由とする必要はなかった。
説明がコロコロ変わるのは、原発を電力会社の所有として政府は直接の責任当事者になっていないからだ。政府は原発の責任を民間会社に押しつけてノラリクラリとしている。もし、徹底的に安全対策をしようとすれば、例えば、外国による第三者的な調査を依頼するだろう。それくらい今の国民は原発の安全性について疑問をもっている。
東電を実質国有化とかいっているが、東電を法的整理して原発だけを国有化すべきだ。その上で、安全対策を国の責任で行うべきだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。