波平の銅像から抜かれた毛 こんな事態に備えて予備があった

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   東京都世田谷区の桜新町駅前にあるサザエさん一家の銅像のうち、波平さんのものから1本だけある頭の毛が抜かれていることが分かった。もっとも、予備があり、最悪の事態は避けられるようだ。

   サザエさん一家の銅像は、駅前通りの歩道上に仲良く立っており、並んで記念写真を撮る人が絶えない。家族のように近づきやすい存在だが、それを逆手に取ってイタズラする人がいたらしい。

ペンチなどを使って抜いた可能性

ワカメやタラちゃんも同じ毛だとか
ワカメやタラちゃんも同じ毛だとか

   波平さんの銅像から、頭の毛が2度までも抜き取られていたのだ。

   報道によると、一度目は2012年5月7日で、根元から抜かれていた。銅像を設置した桜新町商店街振興組合では、11日に予備の毛で植毛したが、さらに20日になって、それも抜き取られていることが見つかった。

   波平さんの銅像は、高さが約130センチの青銅製で、頭の毛は約10センチある。ペンチでも切れないステンレス製の高硬度ワイヤを使っており、頭頂部の穴に差し込んで接着剤で固定されてあった。

   何者が一体どうやって引き抜いたのか。

   振興組合の坂口賢一理事長は、取材に対し、波平さんの毛について、「かなりしっかりした作りで、ちょっとやそっとで抜けるものではない」と話す。

   抜いた手口については、「手で持てば滑ってしまうので、何かで挟んでかなりの力で抜いたのでは」と推測した。具体的には、ペンチなどを使って抜いた可能性を指摘している。抜いた人物が2度とも同じと考えられるのか、目撃者はいないのかなどについては、「分からない」という。

   抜き取られたことについて、警察の捜査は進んでいない。振興組合が被害届を出していないからだ。坂口理事長は言う。

「イメージがよくないでしょう? サザエさん一家はアットホームな感じですから。犯人という言い方は物騒で、そうは見たくはありません。2度とこのようなことがないようにお願いしたいということです」

親しみやすさ重視で、囲いなどには否定的

   被害届を出さないことについて、警察サイドはどのように考えるのか。

   警視庁玉川署の副署長は、取材に対し、「どうだとも言えない」としながらも、こう言う。

「新聞報道もありましたから、うちから振興組合に相談を持ちかけました。どういう経緯で抜き取られたのかや、今後予想されることについて話を聞きに行きます。捜査はしていませんが、パトロールは強化するつもりです」

   組合側とは2012年5月23日中に話し合うとした。商店街では、防犯カメラを付けようという話が出ているといい、警察からもアドバイスするとしている。

   振興組合では、波平さんの銅像に予備の毛を今度いつ付けるかについては未定というが、坂口理事長は、「また抜き取られるようなことがあれば、被害届を出さないといけないかもしれません」とした。また、商店街の防犯カメラ設置については、抜き取られたこととは直接関係ないとしながらも、今後落ち着いてから考えたいという。

   波平さんの毛は、もともとまっすぐだったといい、触られたせいで、抜き取られる前はコの字形に曲がっていた。ただ、坂口理事長は、イタズラなどを懸念して、銅像の周りに囲いを作ることなどには否定的だ。

「『芝生に入ってはいけません』などと看板を立てるのは、寂しくないですか? ですから、『銅像に触るな』というのは、どんなものかなと思っています。手荒なことをすれば毛が抜けてしまうわけで、モラルの問題だと思います」

   なお、サザエさん一家の銅像は、作品誕生65年を記念して、3月25日に桜新町駅前の4か所で計12体が設置された。世田谷区の担当課によると、設置には、4000万円ほどかかっており、そのうち2800万円を都と区が補助している。波平さんらの毛については、抜き取られることも想定して、何本か予備を揃えていたという。

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