親しみやすさ重視で、囲いなどには否定的
被害届を出さないことについて、警察サイドはどのように考えるのか。
警視庁玉川署の副署長は、取材に対し、「どうだとも言えない」としながらも、こう言う。
「新聞報道もありましたから、うちから振興組合に相談を持ちかけました。どういう経緯で抜き取られたのかや、今後予想されることについて話を聞きに行きます。捜査はしていませんが、パトロールは強化するつもりです」
組合側とは2012年5月23日中に話し合うとした。商店街では、防犯カメラを付けようという話が出ているといい、警察からもアドバイスするとしている。
振興組合では、波平さんの銅像に予備の毛を今度いつ付けるかについては未定というが、坂口理事長は、「また抜き取られるようなことがあれば、被害届を出さないといけないかもしれません」とした。また、商店街の防犯カメラ設置については、抜き取られたこととは直接関係ないとしながらも、今後落ち着いてから考えたいという。
波平さんの毛は、もともとまっすぐだったといい、触られたせいで、抜き取られる前はコの字形に曲がっていた。ただ、坂口理事長は、イタズラなどを懸念して、銅像の周りに囲いを作ることなどには否定的だ。
「『芝生に入ってはいけません』などと看板を立てるのは、寂しくないですか? ですから、『銅像に触るな』というのは、どんなものかなと思っています。手荒なことをすれば毛が抜けてしまうわけで、モラルの問題だと思います」
なお、サザエさん一家の銅像は、作品誕生65年を記念して、3月25日に桜新町駅前の4か所で計12体が設置された。世田谷区の担当課によると、設置には、4000万円ほどかかっており、そのうち2800万円を都と区が補助している。波平さんらの毛については、抜き取られることも想定して、何本か予備を揃えていたという。