2012年5月21日の米ニューヨークのナスダック株式市場で、上場わずか2日のフェイスブックの株価が急落した。公開価格(38ドル)をも下回り、終値は前週末より4.2ドル(約11%)安の34.03ドルだった。
ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)最大手、フェイスブックの株式上場は、「10年に一度の大型案件」と期待が大きかっただけに、そのショックもまた大きいようで、地元紙などでは市場関係者のコメントとして「足元の業績と比べて評価が高すぎた」との酷評されている。
デイトレーダーが「見切り売り」
5月18日に新規上場したフェイスブック株の終値は、公募・売り出し価格に比べて0.23ドル(0.6%)高い38.23ドルだった。初値は42.05ドルと、比較的好調な滑り出しをみせたように思えたが、高値は45ドル。安値は売り出し価格と同じ38ドルと、前評判が高かったわりには案外な結果だった。
それでも、この日の時価総額でグーグルの1957億ドルには及ばなかったものの、アマゾン・ドット・コムの963億ドルを上回る1046億ドル(キャピタルIQ調べ)と、1000億ドルを突破した。
ところが、取引2日目の21日も「勢い」のない状況のままだったようだ。野村証券・投資調査部のシニアストラテジスト、村山誠氏はこう説明する。
IPO(株式の新規上場)株狙いの投資家には、短期的な値動きで売買してサヤを抜く投資家(デイトレーダー)と、長期保有を目的に、グーグル株やアマゾン株のような、将来の値上がりを期待する投資家の2通りいる。
フェイスブックの場合は、売り出し価格の38ドルと高値の45ドルの値幅で推移していた。そのため、「50~60ドル程度の上昇を期待していた短期売買を中心とする投資家は、フェイスブックの力不足といいたいのでしょうが、結果的に思惑が外れて早めに売ってしまおうと動いたのだと思われます」とみている。
当初、市場関係者のあいだでは「50%程度の値上がりは堅い」との見方もあっただけに、デイトレーダーの中には損を承知で売る、「見切り売り」に出た投資家も少なくなかったようだ。
また、上場直前に売り出し株式数を増やしたことやナスダック市場の取引障害も影響したとされる。