平穏を取り戻したようにみえるが、個人レベルの震災処理はこれから【福島・いわき発】

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   先日の朝、建設会社の社員がやって来て、「半壊」判定の離れ(物置)をチェックした(=写真)。震災に遭った家屋の解体作業を市から委託されているのだろう。受付番号と「家屋解体」「損壊状況」などと書きこまれた、撮影用の簡易黒板を持参した。いよいよわが家の離れの順番がきたようだ。


   師走、離れの解体撤去申請書を市に提出した。それから間もなく半年。解体は1年先と踏んでいたが、「6月中旬以降でしょうかね」。思っていたよりずいぶん早い。時期がきたら電気を止めるために東北電力に連絡を、ということだった。


   離れは「書庫」のはずだったのが、どんどんモノが持ち込まれ、積みあげられて、いつの間にか「物置」に変わった。まずはそのモノたちを片づけなくてはいけない。それはカミサンの仕事。本箱の全体が見えるようになってから、時間をかけて本のダンシャリを繰り返した。


   もう待ったなしだ。最後に残っていた重厚長大モノの美術全集を運び出す。あとは本箱だが、捨てるにはしのびない。古書店を営んでいる若い仲間にやるか、カミサンの実家の物置に運ぶか。建設会社の社員は、いらないモノは災害ごみの仮置場へ持って行くといいという。その手もあるが、本箱はまだ使える。


   母屋は「大規模半壊」に近い「半壊」。こちらは申請期限が迫る3月下旬、市に「災害救助法に基づく住宅の応急修理」を申し込んだ。知り合いの大工さんに必要最小限の工事額を見積もってもらうつもりだが、時間がかかりそうだ。


   津波に襲われたハマと違って、内陸部のマチは一見、平穏を取り戻したかのようにみえる。が、個々のレベルではまだまだ震災処理が終わっていない。近所ではまた1軒、あっという間に解体され、新築工事が始まった。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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